担当:松井 圭悟

日本獣医がん学会 腫瘍Ⅱ種認定医
獣医腎泌尿器学会所属




腎泌尿器疾患とは


腎臓は血液からおしっこを作ります。腎臓で作られたおしっこは尿管という細い管を通り膀胱におしっこを貯めます。貯まったおしっこは膀胱が収縮することで尿道を通り、排出されます。この過程のいずれかにに異常が起きると様々な症状が現れます。その異常を見つけ、治療していくのが腎泌尿器科のお仕事です。



どんな症状があるの?


排尿回数が増えた 尿量が増えた 血尿が出る 飲水量が増えた 排尿時間が長い
排尿痛がある(排尿時声を出すなど) 尿漏れがある いつもと違う場所で尿をする
トイレから出たり入ったりを繰り返す 尿が出ない 毛艶が落ちた 食欲がない
嘔吐する 尿の臭いが変わった 尿の濃さが変わった など



検査



  1. 血液検査

    腎機能の評価や身体のダメージを検出するのに役立ちます。



  2. SDMA

    腎臓の機能が 40%以上低下すると上昇しやすくなります。腎機能低下の早期発見に役立ちます。院内では検査できません。



  3. CRE

    腎臓の機能が 60%以上低下すると上昇しやすくなります。院内で迅速に測定できます。



  4. BUN

    身体の中の毒素になります。腎機能が落ちると上昇し、食欲不信や元気消失の原因になります。重度の上昇では痙攣発作を起こすこともあります。



  5. Ca

    腎機能の低下により上昇や低下し様々な症状が出ます。



  6. PHOS

    腎機能の低下により上昇します。腎機能の落ちている子では数値が5を超えると寿命が短くなるというデータがあります。



  7. 電解質(Na、K、Cl)

    腎機能の低下により脱水や重症の場合は逆にむくみが生じ、身体のミネラルバランスが崩れると、様々な異常が身体に出てきます。



  8. CRP(犬)・SAA(猫)

    身体に強い炎症があるときに上昇します。



  9. 超音波検査

    腎臓や膀胱の形の異常 結石の有無などを検出するのに優れています。リアルタイムで検査ができ、身体への負担が無いのも魅力的な検査です。ただし正確に検査するためには毛刈りをさせて頂く場合がございます。












  10. レントゲン検査

    腎臓や膀胱の形の異常 結石の有無などを検出するのに優れています。超音波と似ていますが、それぞれ発見できるものに得意不得意があります。



  11. 尿検査

    尿中の細菌や結晶、血液やタンパク質など本来尿中にないものが出ていないかを確かめることで病気の発見につながります。また、尿の濃さを調べることで腎臓の機能をチェックしたりもします。












  12. CT検査

    超音波やレントゲンだけでは分からない詳細な部分の異常を見つけることができます。ただし、検査には全身麻酔が必要になります。



  13. 腎泌尿器には様々な疾患がありますが、腎臓は一度悪くなると良くするのが難しい臓器です。定期的な健康診断による疾患の早期発見と治療を行うことで少しでも長く健康にすごせるサポートができるかもしれません。怪しいなと感じたり、高齢になってきた際にはお気軽にご相談ください。