院長挨拶
2024年 春
この度横浜山手犬猫医療センターの病院長に就任いたしました川合智行です。 動物達に元気になってもらう事が、最大の獣医療サービスです。 私は、ご家族の皆様にもご満足いただく為にお待たせする事なく、経済的負担が二次診療施設よりも軽いが技術は一流をモットーに日々診療しております。
今後当院がどうすれば全ての動物達や飼い主様から信頼される動物病院となれるかと考えれば、各診療科目に其々スペシャリストがいる病院である必要があります。最新の情報を取り入れ、日々学習し治療にあたるのは当たり前のことであります。 しかし自分一人で外科や内科をはじめとする全ての診療科目においてスペシャリストとなるのは現実的に不可能です。そこで当院の特徴は、地域のかかりつけの動物病院であることはもちろん、大きな病気をした際に大学病院や各専門病院と同等な獣医療が皆様に提供できるように、普段診察している獣医師達が其々の得意とする診療科目を専門的に学習し、その分野のスペシャリストとして専門的な治療が可能である事が最大の特徴です。我々は博士号や各学会の認定医を取得することで皆様からの信頼を得られるよう努力しております。一方で、正直なところ全ての疾患に対してスペシャリストというわけではありません。心臓外科や頭蓋内疾患などでは当院よりも高度な治療が可能である施設をご紹介することもあります。また入院治療が必要な場合は監視カメラにて観察する、もしくは私を含めた獣医師が病院に宿直して看護にあたりますが24時間付きっきりの看護は難しくなってきます。 その際も提携している夜間病院をご紹介することになります。
当院は患者数や手術件数では横浜の中核動物病院と言えるかもしれません。「この疾患なら横浜山手犬猫医療センターに行っていれば間違いない。」「困ったら横浜山手犬猫医療センターに行こう。」と言っていただけるようになれればと思っております。しかし基本的には地域に密着した暖かい獣医療を皆様にご提供することが理想形です。
そのためには獣医師だけではなく、動物看護師を含めたスタッフ全員が皆様に信頼していただけるよう教育を実施しております。「あの先生は忙しいから若い先生にまず聞いてみよう。」また「先生には聞きにくいけど、いつも話してくれる看護師になら相談してみたい。」など皆様と動物達のより良い生活が送れますよう努めてまいります。
2024年4月1日
横浜山手犬猫医療センター 院長 川合 智行
グループ会長挨拶
2023年 春
「人の寿命は100年時代 犬猫の寿命は20年時代へ」
本コラムへお尋ね頂き誠に有難うございます。
6年半ぶりにご挨拶を更新させて頂きます。本質的な部分はぶれずに、ご家族である犬猫さんに対して出来る限りの医療体制を尽くすという事に変わりはございません。昨今、人の寿命は100年時代と言われており長寿という贈り物を楽しめる時代となりました。私が感じているのは、犬猫の寿命は20年を目指して行ける時代だと思っております。大切なのは苦しんだ長寿を過ごすのではなく、健康寿命を維持しながら楽しく生活する事だと思います。常々述べさせていただいております、「可能な限りの苦痛を除去し、自力で食事をして排便排尿が可能であるという健康な状態」を目標としたいです。そのためには事前にライフシフトを戦略的に立てていく必要があります。医療として必要なのは予防医療と終末期における過剰医療の中止だと考えます。
動物医療は時と共に次々と変化し、数年前の治療方法が全く変わってしまう事もしばしばあります。やはり横浜の地域医療を高めるには、遠方に行かなくても専門的な診療を受けられることにあると思います。専門性があれば、技術(診断と治療)を高めることが可能です。近年の当院の取り組みとして、専門性では川合、上田、松井が学会認定医(外科、皮膚科、免疫科、腫瘍科)を取得しており、他の獣医師も歯科、循環器科、腎泌尿器などの認定医を目指しております。さらには外部からの専門医の方々を招聘して当院での得意な診療科を充実させております。
施設面としては、CT装置と4Kハイビジョンでの内視鏡装置を導入して診断治療の幅を広げることができました。具体的には、CT撮影では明解な病気の診断や腫瘍外科手術などを計画的に行う事が出来るようになりました。腹腔内視鏡で低侵襲で行う不妊手術は痛みが軽減され、耳や鼻の内視鏡は中耳や鼻腔の奥まで診断治療が可能となり、関節内視鏡は肉眼では確認できないような細かな病態を把握し、消化管内視鏡では胃や腸のより正確な検査が可能となりました。
スタッフも健康寿命を目指して日々研鑽しております。健康維持のために院内にトレーニング施設を設けて筋トレやランニングを奨励しております。やる気を持って元気に仕事をしてもらい離職を考えないようにしてもらいたいので、出来るだけホワイト企業を目指して給与と労働時間の働き方改革を実行しました。スタッフでのトピックスは、動物看護師の資格が国家試験になりより勉強が必要となりましたが、当院のスタッフは猛勉強で乗り越えてくれました。スタッフ全員が進化しながらプライベートも更に充実していくことを現在模索中であります。
今後の課題としましては、犬猫以外のエキゾティックアニマル(うさぎ、ハムスター、鳥、モモンガ 等)と呼ばれる動物達への医療展開も必要性を感じております。また、コロナ禍以降に予約診療制を導入させて頂き、待ち時間を計画的に短縮できたことは恐らく好評いただいていると実感しております。夜間の救急の対応は横浜の救急病院が非常に良い対応を頂いておりますのでそちらでお願いしておりますが、昼の時間の体調の急変には、年中無休(年末年始は除く)の診療体制で出来るだけ頑張っていきたいと思っております。(獣医師全員が手術中の場合はご勘弁ください。)
最後に、時代は脱コロナへと進んでおりますが感染症の脅威は今後も注意が必要で、院内の感染対策と人畜共通感染症の警戒、さらには犬・猫同士の病原体やノミダニなどの予防なども重大な課題となっております。特筆すべきはマダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)で、すべての猫と犬で通年にわたり抗ダニ薬を処方して、ペットを守り、飼い主を守り、獣医療関係者を守ることを進めるべきと考えています。また水面下では耐性菌の脅威も重要な問題で、人で抗菌薬耐性の細菌感染症による死亡例も増加しており、人と動物の医療を同時に考える「one health」の理念から抗菌薬の投与の濫用を見直さなければなりません。
今後も情勢に合わせた社会貢献を動物医療を通じて提供出来ればと考えておりますので、皆様とご一緒に発展していく為にもご意見とご協力を頂戴いただきたいと存じます。何卒よろしくお願い致します。
2016年 秋
「動物達が与えてくれた無限の愛情に心から応えたい」。
動物は、小さなお子様には命の大切さや友情を育むことについて学びを与えてくれ、日常生活では癒しや笑顔を、介護が必要な人には温もりを与えてくれます。そうした彼らも人間と同じように病気にかかったり、怪我をしたりと、その命を支えるための医療行為を必要とします。当院は、そうした動物たちが人に与えてくれる愛情、動物と触れ合うことを通じて気づかせてくれる気持ち、様々な学びを与えてくれることに、医療行為を通じて応えたいという想いをもって設立されました。
医療行為について彼ら動物は人間と違い、痛みや苦みを言葉で伝えることができません。人の場合はある程度自分自身で健康管理をすることができますが、動物の場合は同居する皆さん自身がまず異常に気付き、私たち獣医師と一緒にその痛みや苦しみの原因の所在を明らかにしていくことが大切です。
当院では、病気や怪我の診断と治療に際して、普段の生活の様子などをできるだけお伺いし、可能な限りの苦痛を除去し、食事をして排便排尿が可能であるという健康な状態に戻れるように尽力致します。
人と同じで動物も、出来れば病院には来る必要がない健康な状態でいることが一番です。我々は、予防医療により未病を防ぐ事が、動物の健康維持し皆様が豊かな生活を送られることと考えております。また、過剰で偏った医療にならないように、いわゆる統合医療を推進致します。さらには、動物本来の自然治癒力を発揮できる再生医療も積極的に実践しております。詳しい内容につきましては、HPを進んで見ていただき、スタッフにもご相談ください。
では、どういう医療体制が最善であるかを考えました。基本的に、横浜市の地域医療に貢献することを目標としました。つまり、「横浜市内の患者は、横浜市内の動物病院でなんとかする。さらには私の病院で出来るだけなんとかする!」いうことです。当院は実際に、横浜市獣医師会に所属して横浜市内の他の病院の先生方と交流して協力体制を取っております(獣医師会に所属されている病院に限ります)。
我々、1次診療病院では、大学病院や高度医療病院への2次診療と連携しつつ、治療のニーズに合わせたチームによる医療態勢を実践しております。その中で、地域の方々は出来るだけ近隣での医療機関で対応して欲しいという声を多く聞いて参りました。また、夜間救急についても不安のお気持ちをお持ちでらっしゃると思われます。現在、当院での専門性、医療機器、時間外診療に対してはやはり限界があります。しかしながら、この現状を少しずつ改良出来れば皆様の安心をお守りすることが出来ると思っておりますので、その成長過程を末長く見守って頂きたく存じます。勿論、横浜市の方々のみならず県外からの方も御来院頂いており、今後も遠隔からの方々を優遇できる対応を検討しております。また、これから動物を飼いたいという方、感染症予防のワクチン接種や寄生虫駆除、避妊去勢手術希望の方、普段の健康管理や躾について知りたいという方、様々なご相談に対応しております。
最後に普遍的ではありますが、真摯な心を大切にした関わり合いを忘れないことをスタッフ一同肝に命じていきたいと思っております。限られた時間の中ではありますが、コミュニケーションを大切にし、明快で的確な会話が出来る事を目標とします。日々慢心せず、動物と飼い主の皆様に対応するようにするためには、個人個人が心身ともに毎日鍛錬していくべきであります。心を整え、頭と肉体を鍛錬した者でないと、飼い主様や動物に手を差し伸べることが出来るはずがないでしょう。私個人も日々成長するような生活を実施し、若いスタッフの道徳的な人材の育成も計画しております。ただ単に「頑張ります」というだけでは何の責任の重みもありません。チームとして病院を維持し、個人が健康的に鍛錬できるシステムを論理的に構築している最中であります。それには、飼い主の皆さまからのご意見やご指導が我々には必要でありますので、遠慮なく我々にお申し付けして下さい。
以上をもって、ご挨拶とさせていただきます。
我々が今やらないといけない事は、「地域」の社会システムを見越した総合的な診療。獣医師が、コミュニケーションも機械も駆使しながらそうした役割を担う時代に戻ることで、動物と皆様の笑顔を守ることに邁進致します。
横浜山手犬猫医療センター
グループ会長 上田 一徳